医療トピックス No.8 レセコンとレセプトのオンライン化及び電子カルテと検査、画像データの管理について

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レセコンとレセプトのオンライン化及び電子カルテと検査、画像データの管理について

レセコンとレセプトのオンライン化及び電子カルテと検査、画像データの管理について
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医療機関におけるIT化の近況とその問題

医療機関におけるIT化の近況とその問題

医療費の適正化の名目で、国が義務化として推し進めるレセプト(診療報酬明細書)のオンライン請求が、平成23年4月から実施される。 IT(情報技術)に不慣れな医療機関や基盤整備がなされていな地域では、 オンライン請求※1 の義務化により、医療機関の存続が危ぶまれるという。 日本医師会や日本歯科医師会は、営業の自由の侵害や情報漏洩の危険性などの理由から、オンライン請求義務化に反対している。
ITの発展に伴い、医療の世界にも情報公開の気運が高まっている。 医療情報の電子化で重要なことは情報の共有化であるが、機密性の保持、データ保存など、多くの問題を抱えている。 医療情報の共有化に、今後、医療分野に遅かれ早かれITの波が押し寄せてくる事は避けられず、 我々クリニックレベルでも必然的にITに対する意識改革が求められていくものと思われる。
最近、電子カルテとレセコン(レセプトコンピュター)の他、特に PACS(Picture Archiving and Communication System = 医用画像情報保存参照システム)※2 は、フィルム保管スペースや管理の問題から、大規模な病院のみならずクリニックレベルまで高額なPACSを導入する医療施設が増えてきている。 PACS運用は、モニターを使用しての画像診断で、フィルムが不要となる、いわゆるフィルムレスのことである。 しかし現在のところ、PACSの導入が、必ずしも医療の向上や疾病の予防そして経費の削減などには至ってはいない。 逆に施設の経営を圧迫しかねないという不安があるのも事実で、 経済的な面のみから考えるとPACSの必要性についての明確な解答は得られていないのが実情である。
※1 オンライン請求  … 保険医療機関・保険薬局と審査支払機関、審査支払機関と保険者等を、全国のネットワーク回線で結び、 レセプト電算処理で作成した請求データ(レセプトデータ)を通信回線などによって、情報を転送するシステムのこと。


※2 PACS  … レントゲンフィルム、CT, MRIや超音波画像などの医療用画像データをネットワークで転送するシステムのこと。(名称は久留米大学病院より引用)

当院のシステム導入状況

当院のシステム導入状況

当院では、平成20年7月に、電子カルテとレセコン(Medicom-DP/X・Medicom-MC/X・胸依療典)の 分離型※3 を導入した。 そこで当院が行っている電子カルテおよび検査、画像データ管理システムを紹介する。

■電子カルテとレセコン

機種は、電子カルテのOSがWindows,レセコンのOSがLinuxである。 LinuxはWindowsより比較的安定した動作を有し、三洋電機の開発ソフトで相互のファイル交換を可能にした。 Windowsのsystem障害が起きた場合でも、Linuxで医事会計が出来るのが分離型の特徴で 一体型※4 よりも便利である。 電子カルテ自体は、非常にシンプルで見やすいし、使い易く、スムーズに作動する。 また電子カルテのバックアップ機能も良い。 欠点は、コスト的にメンテナンス料も含め高く、電子カルテの普及を考えると、企業側は低価格に設定すべきであると考える。

■検査及び画像データ管理

検査及び画像データ管理については、ストレージサーバー(データサーバー、HDD 3.08TB)を増設、 LAN※5 で電子カルテと接続した。 そこでストレージサーバーのハードディスク内に種別・日別毎などのフォルダを作成し、二世代バックアップを行いデータを保存管理している。 診断に用いるための画像閲覧ソフトではないが、パソコンに画像管理のフリーソフト Picasa3※6 をインストールし、画像の、取り込みや濃度、コントラスト、拡大縮小などの画像編集をしている。 このソフトは、ハードディスク内のフォルダを探索し画像データ管理を容易に行う。 さらに JPEG画像※7 だけでなく RAW画像※8 も取り込まれ閲覧出来るなど、まさに優れた高機能を有するソフトであり、患者さんの画像の説明等に使用するには十分である。
※3 分離型  … 電子カルテとレセコン機能が別々。
※4 一体型  … 電子カルとテレセコン機能が一体。
※5 LAN  … Local Area Networkの略。
※6 Picasa3  … Google よりダウンロード。
※7 JPEG画像  … 非可逆圧縮の画像データ。
※8 RAW画像  … 未完成の画像データ。

電子カルテやストレージサーバーへの検査及び画像データの取り込み

電子カルテやストレージサーバーへの検査及び画像データの取り込み

検査及び画像データの取り込みは、以下の図1のように行っている。
電子カルテやストレージサーバーへの検査及び画像データの取込図

電子カルテ画面とPicasa3での画面

電子カルテ画面とPicasa3での画面

■電子カルテ画面

超音波,胸部X-P,胃内視鏡検査画像/胃内視鏡検査画像
   超音波,胸部X-P,胃内視鏡検査画像 胃内視鏡検査画像

■Picasa3での画面

サムネイル画像/胸部X-P画像
   サムネイル画像 胸部X-P画像

大腸内視鏡検査画像/心電図検査画像
   大腸内視鏡検査画像 心電図検査画像

当院のIT機器

当院のIT機器

写真をダブルクリックすると拡大され詳細が表示されます。
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まとめと所感

まとめと所感

電子カルテを導入して約一年、ITに対する意識改革、即ち、教育や訓練により、医師、看護師、事務員各々が役割を分担し、電子カルテを機能させている。
電子カルテは、言われているような ペーパーレス※9 が目的ではなく、診療の効率化や質的向上、医療情報の共有化及び患者中心の医療等を目的としたツールである。 我々、医療従事者はこのツールを使用し、試行錯誤しながら、紙カルテでは出来ない利点を追求していくことが大事である。 当院では、医療ミスを防止するという観点から、紙カルテを共存させ、それを指示箋とし、効率よく診察や治療を行っている。 一方PACSを用いてのフィルムレスをクリニックレベルで実現させるには、費用の面や個人情報の保護、セキュリティ対策及びスタッフの指導などに、 多くの克服すべき問題がある。そこで当院ではPACSとは比較にはならないが、既存の検査機器で検査、画像データの管理システムを構築した。 そして、このシステムでも確かに、職員が資料を探し回るという姿は、以前よりも少なくなったように感じる。
医療分野のIT化が進むなか、 国内の電子カルテの普及率は、数%〜10%と低率である。 この背景には、電子カルテのコストやメンテナンス料が高いこと及び電子カルテを導入しても医療機関の収支が改善しないことなどである。 今後、医療ITの創意工夫により、ITコストの低減などが実現し、国民ひとりひとりの、健康管理、 疾病予防や医療情報の管理把握が出来て患者中心の医療となるならば、電子カルテやPACSなどに設備投資をしても良いのではないかと考える。
※9 ペーパーレス  … 紙を使わずに情報や資料をコンピューターなどによって処理、保存すること。

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