コラム&エッセイ No.6 在宅医療の危機

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コラム&エッセイ No.6 在宅医療の危機

在宅医療の危機
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平成26年度の診療報酬改定では「社会保障・税一体改革」の方針に基づき、平成37年に向けて医療、介護などの社会保障費の抑制を目指す改革となった。今回の改定で、7対1の急性期病床の削減と入院期間が短縮となり、病院から在宅への流れが加速する一方で、同一建物居住者への在宅医療〈訪問診療など〉にかかわる点数が大幅に切り下げられたのである(約4分の1の引き下げ)。この引き下げの背景には、介護施設などを運営する事業者から、患者紹介を受けて、訪問診療を行った報酬の一定額をキャッシュバックするという患者紹介ビジネスが問題化し、これを是正する為の対策の一つであった。しかしながら、この是正の為の対策が皮肉にも裏目となった。つまり、有料老人ホームなど高齢者施設への訪問診療の報酬の大幅な減収は、医療機関の運営を困難にし、医療機関の施設への撤退や交代を招いている。この撤退や交代は全国で少なくとも155施設、約11カ所の1カ所の割合で実に深刻である。これは、政府が推進してきた在宅医療、即ち病院から在宅への流れに全く逆行するもので、医療機関は、在宅医療を行うか否かの二者択一に迫られている。また、病院から施設に押し出された患者が医療を受けられないという危険性も増大するとともに、どこにも行く場所がない終末難民の増加は悲劇と言わざるを得ない。今や、在宅医療は危機的であり、この危機を脱出するには、より一層の質的充実を図ることであり、以下に示すような課題に取り組む必要がある。
  • 診療報酬の見直し。
  • 患者紹介ビジネスの禁止と取り締まりの強化。
       社会保障の名目で不正な利益を追求するビジネス化システムの禁止。
  • 設備投資などがない在宅専門だけのクリニックの見直し。
  • 介護職、ケアマネージャーの最低限の医療教育
  • 介護施設での看取り、見送りの浸透、介護職の死への意識改革
  • 患者全体を把握できる医師の要請。

さて、当法人が運営する有料老人ホーム樹都南の里は、医療機関から退院してきた患者さんが約5割で、介護はもちろん医療への依存度も大きく、看取り、見送りにも積極的に取り組んでいる。有料老人ホーム樹都南の里の開業から現在までに見送りした利用者の方5名を表に示す。
最後に、私共は、利用者の方々に訪問診療が無くなるなどの不安や心配を与えずに施設側には今まで通りの在宅医療を行う考えであり、今後とも地域包括ケアシステムの構築を目指したい。
有料老人ホーム樹都南の里
平成24年4月1日〜平成26年8月31日
病名 入居目的 平均入居期間
癌疾患(3名) ホスピス
(ポルスト(※1)同意)
7.8ヶ月
非癌疾患(2名)
※1 ポルスト(POLST) …
 Physician Orders for Life-Sustaining Treatmentの略で、生命維持治療のための医師指示書という意味。

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